けんりょくとーそー?

親指シフトをかじり始めてから、キー配列全般について興味が色々と湧いてきまして、ネットで情報を漁り中。


今現在最も使われている英字配列(俗にQWERTY配列と呼ぶらしい。キーボード左上をれっつらうぉっち)って、実はローマ字入力にはあまり適してないらしいですね。確かに、重要な母音のはずの"a"が左手小指の位置にあったり。
っつか、英語圏の人間にとってさえ(純粋に効率だけを考えると)あまり使いやすいものではないらしい。
ちなみにこの配列が決まりつつあった当時、つまり機械式のタイプライターの時代には「五本指でブラインドタッチ」っていう概念は存在しなかったそうな。だから映画なんかに出てくるタイピストは、みんな一本指打法なんですね。
そんなわけで
「慣習がスタンダードになり、『悪習』になってしまった代表例」
として、このQWERTY配列を挙げる人さえいるとか。


その点、この親指シフトってのは
「純粋に効率だけを考えて、後から作った」
配列なんで、実に理にかなった配列になってます。
後発の、「人工的に」作ったモノのほうが単純でわかりやすい……ってのは、どんな分野でも得てしてよくあることです。
例えばハングルとか。あれも「人工的に」作った文字なんで、規則を一度覚えてしまえば原則として発音等の例外はないらしい。


逆に、親指シフトを使うと
「日本語だと、使用頻度の高い文字ってどれよ?」
というのが嫌でも分かるようになります。
特にsQeoはまだ、オヤユビスト見習いの身分。一文字一文字を意識しながら打っているんでなおさらよく分かります。

ええと具体的に説明しますと。
親指シフト配列(NICOLASと呼ぶらしい)だと
 3段(定位置+上下に各一段)
×10列(親指を除いた4本指×2、人差し指のみ2列をカバー)
の計30コのキーで 全 て の 仮 名 が (濁音含む)打てるんですが、よく使う文字ほど打ちやすい位置に置かれています。
よって最も使われる文字は、中段の人差し指/中指(ついでに付け加えると、シフトキー同時打鍵が不要)の位置に固まる傾向があります。
例えば

  • 「て」(中段、左手中指)=d
  • 「と」(中段、右手人差し指)=j
  • 「の」(中段、右手中指+SHIFT)=k

こいつらは助詞(だか助動詞だか)なんで、使用頻度が高いのもうなずけますね。
他になかなか健闘してる気がするのは

  • 「た」(上段、左手中指)=e
  • 「く」(上段、右手中指)=i

このあたりは、「活用語尾にもなる点」が評価されての入賞と思われます。





ところで。
一番ボスっぽい
「中段、右手中指(シフトなし)」=kの位置
が未出なのにお気づきでしょうか。
人間の指の中で最強のパワーを誇るであろう
 「 右 手 中 指 」 。
これを失ったらあんなことやこんなことができなくなってしまう、非常に重要な指ですよね。
その玉座に就いているのは、意外なんですが







「き」。






この輩が「て」や「と」と同じ、いやそれ以上の地位を持ってやがるのです。
助詞でもない、活用語尾としてもずっと利用価値の低そうな




「き」。
が。


ところがですね、使うと分かるんですが、思いのほか出番が多いんですよ。
特に文法的に重要な語でもないんでけど、普通の名詞等でびっくりするぐらいよく使うんですね。
そうだよね、人間の価値が社会的地位で決まらないのと同じで、文字の価値は文法的重要度で決まるわけじゃない……
それをキミは教えてくれた……
ごめんよ! 僕はキミのことを誤解していたよ!
「き」!








さて一方。


可哀相な文字さん達はどこにいるのかしら?


冷静に考えれば分かりますが、ここまでに出てきた文字の真逆の立場、つまり

  • 使いにくい指、もしくは遠い位置にあり
  • 上段または下段で
  • SHIFT同時打鍵が必要

の位置にあるのがKing of Kawaisounamojiの方々です。
QWERTYだとQ,Z,B,Y,P,/にあたる場所。
(またまた余談ですが、フランス語だとQ、ドイツ語だとZはかなり頻繁に用いられます。だからそれぞれ独特のキー配列があるらしい)
以上6つのうち、5つは


「ぁ」「ぅ」「ぃ」「ぇ」「ぉ」です。


そりゃ無理もない、って気も。
さてこの汚辱にまみれた、悲壮感漂う暗黒の6キー。
最後の1つの汚名を着せられているのは












「よ」。






あんまりだよ……
確かにアタイを受け入れてくれる名詞なんか、そんなにないのはわかってるさ……
アタイだって、自分は表の世界に住んじゃならない、ツマハジキだってことぐらいはわかってる。
そこまでうぬぼれちゃいない……
でも、でもっ……!!
ひどい! あんまりだよ!!
これでもアタイなりにやってるんだ! 仮にも助詞だってのに!!
あのどうしょうもない、「ぬ」の奴以下だっていうのかよ!!
アタイの、アタイの存在する意味は「ぁぅぃぇぉ」程度だってのかい!!



涙をこらえ、帰宅した「よ」。
しかし自宅さえも、彼女には安息の地ではなかった——


「またこんな時間まで…… この出来損ないめが!!!!」
「おとうさん、どうかこの子にそんなにつらく……」
「だまれ!! 『ゆ』!! おまえだって似たようなものだ!!!! わたしは助詞『や』として、お前達に不自由をさせまいと働いてきたというのに……」
「そんな……」
「言わせてもらうが、『ゆ』! お前のような女を妻に選んだのが間違いだったぞ!!!!」
「『や』さん…… ひどい……」


ここで『よ』の実の妹、『ょ』が部屋から出てくる。


「あら姉さん、帰ってたの? そのまま帰ってこなければいいと思ってたとこなのに」
「アンタ、何さそのクチの……」
「あーあもう、恥ずかしくて学校行けやしないわ。実の姉があんな打ちにくい場所にあるキーだ、なんて友達に知られたら笑われちゃうwww」
「黙れ!!」
「そんなこと言うのは、せめて私ぐらいのポジションになってからにしてよね。それに学校じゃ、クラスの子音はほとんど私のモノなの知らないの? 「ち」も、「し」も、「に」も、それに委員長の「き」とだって私、付き合ってるのよ」
「くっ……うぐっ……」



続きません。
それではまた。









ちなみに……
ある意味「キャラクター設定資料集」?