胃袋の一時帰国

sQeoよ、最近BBQばかりで(脳内)フランス人としての本分を忘れちゃおらんかえ?
という訳で久々にフランス料理。

牛すね肉と豚スペアリブを、各種香味野菜と白ワインでマリネ。
しばし冷蔵庫に放置し、夕方から煮込み始めます。



……
マリネ完了。

肉、マリネ液、具の野菜(ジャガイモ、タマネギ、ニンジン、セロリ)をオーブン対応の鍋に入れ、パン生地(今回は市販のピザミックスで代用)で隙間を埋めます。
そして150℃ぐらいの低温のオーブンで長時間(今回は2時間)、じっくり焼く?煮る?どっち? します。



こうして完成したのがアルザス地方の名物料理、"baeckoffe"。
日本語だとベックオフとかベックオフェとかベッコフとかひどいとベーカーホフ(これだけは綴り上ありえない)とか、とにかく読み方が一定してません。
実は現地のフランス人ですら、どう読んだらいいか困ってるっぽいのでまあいいやw

本来はこんな専用鍋で作るのですが、いくら調理器具収集家のsQeoでも、こんなニッチな物は持ってないw


そして鍋をご開帳。蒸気の逃げ場がない状態で蒸し煮にしてたので、開けた時の香りがこの世の物とは思えないかぐわしさ。

盛りつけちまえば何のことはない、素朴な家庭料理です。
んがしかし美味い。「染みる」味ですね。
牛すね肉ってのは、こういう濃度のない汁で煮るとパサつくのが普通ですが、スペアリブの脂がそれを補ってます。
また肉もさることながら、クタクタになったタマネギとセロリが甘い。甘すぎる。十万石(ry
ゴチソーサマデシター


ところで、食ってた物が主に「肉と芋」だったので、いつもの不健康系メニューと実はそんなに変わってなくね?
それではまた。



余談その1:何だか仰々しく見えるこの料理ですが、実は由緒正しき「主婦の手抜きメニュー」です。
余った食材をとりあえず先の陶器に放り込み、朝のパン焼きを終えたパン屋に行って放置。
教会(一説には洗濯とも)に行っている間、窯の余熱でじっくり蒸し焼きになり、戻って来た時には食べごろ、
というのが由来らしいです。
だから料理名の"baeckeoffe"というのは英語でいえば"baker's oven"、つまり「パン屋の窯」という意味なのです。


余談その2:「アレ? フランス料理の名前なのに、なんで英語と似た発音?」
とか思っちゃった方は、なかなかのおしゃれさんです。
実はこのアルザスっていう地方、オトナの事情によりフランス領になってますが、文化的には完全にドイツ側の地方。
ココの方言の「アルザス語」ってのも、フランス人にとっては宇宙語で、ドイツ人なら何となく分かる、っていう言葉ですので。
ドイツ語と英語なら共通する単語がかなり多いですからね。
さっき言った「フランス人も発音に困る」のは、ほぼ外国語だから。彼らにとってはありえない綴りと語感ですから。